アクテリオン社の新規肺動脈性肺高血圧症治療剤に関する日本新薬株式会社とのライセンス契約締結について

アクテリオンファーマシューティカルズジャパン株式会社(本社:東京都、社長:田中諭)は、このたび、日本新薬株式会社(本社:京都市、社長:前川重信)との間で、アクテリオン社で開発中の1日1回投与で薬効が期待できる、新規肺動脈性肺高血圧症治療剤(一般名:マシテンタン)に関するライセンス契約を締結しました。

アクテリオン社の最高経営責任者Jean- Paul Clozel, M.D.は以下のように述べています。
「アクテリオン社は、肺動脈性肺高血圧症領域でのリーダーとして認識されており、日本においても肺動脈性肺高血圧症の患者さんに経口デュアルエンドセリン受容体拮抗薬「トラクリア®錠」を提供しております。 提携会社である日本新薬株式会社との「マシテンタン」ならびに「ACT-293987 (NS-304)」の開発により、私達は常に最前線で肺動脈性肺高血圧症の研究と治療に携わっていると確信しています。」

アクテリオン ファーマシューティカルズジャパン株式会社 田中諭社長は以下のように述べています。
「ACT-293987 の共同開発に続き、この契約締結により、日本においての肺動脈性肺高血圧症の患者の皆様にいち早く新しい治療を提供できる事を確信しております。」

アクテリオン社によって見いだされたエンドセリン受容体拮抗薬「マシテンタン」は、高力価の組織ターゲティング型デュアルエンドセリン受容体拮抗薬です。組織内エンドセリンを完全にブロックすることにより、特に循環器系におけるエンドセリンの上昇によって起こるとされている組織損傷を保護すると期待されています。マシテンタンは、現在世界で販売されている「トラクリア®錠」(一般名:ボセンタン)と同様な機序を持っています。

アクテリオン社は、現在肺動脈性肺高血圧症を対象として本剤のグローバルフェーズⅢ試験を実施しており、日本においては、本締結に基づき、今後、日本新薬株式会社と共同で臨床試験を開始します。

肺動脈性肺高血圧症治療領域において、日本新薬株式会社とアクテリオン社は2008年4月に日本新薬によって合成・発見された非プロスタノイド構造を有する新規プロスタサイクリン受容体(IP受容体)作動薬、ACT-293987 のライセンス契約を締結しています。この契約により、アクテリオン社は日本を除きACT-293987 の開発・上市化の責任を担い、国内では両社が共同で開発・上市を担っており、両社は国内外で「ACT-293987 」の臨床試験を実施しております。

現在、臨床現場で汎用されている肺動脈性肺高血圧症治療剤は、3種類の異なる作用機序(エンドセリン受容体拮抗、 IP受容体作動、およびホスホジエステラーゼ5阻害)に分類できます。このたびのマシテンタンに関するライセンス契約締結によって、日本新薬株式会社はこれら3種類すべての作用機序の肺動脈性肺高血圧症治療剤を品揃えすることになります。

当社は、難治性の疾患である肺高血圧症に対する薬物治療の選択肢の幅を広げることで、患者様とそのご家族の皆様の生活の向上に貢献できる事を願っています。

(参照)
【肺動脈性肺高血圧症】
肺動脈性肺高血圧症は、罹病した患者において心臓と肺の間の動脈における異常に高い血圧により特徴付けられる慢性かつ難治性の疾患です。心臓と肺の機能は激しく損なわれ、制限された運動耐容能、そして最終的には余命の短縮によって表されます。欧米においては約100,000人の方々が、一次性、あるいは強皮症、エリテマトーデス、HIV/エイズ、先天性心疾患のような肺に影響を及ぼす病態又は組織異常に関連した二次性の肺動脈性肺高血圧症で苦しまれています。
肺動脈性肺高血圧症は肺脈管及び右心室での構造的変化に関係しています。近年の肺血管疾患に関わる病理学的所見から、特定の作用経路(プロスタサイクリン経路、エンドセリン経路、一酸化窒素経路)をターゲットとした新しい治療の開発を導いています。現在の治療法は肺動脈性肺高血圧患者において明らかにその治療効果を示していますが、治癒を与えることはなく、また、多くの患者において病気は進行します。肺動脈性肺高血圧症は依然として重篤な難治性の疾患です。早期の認識と治療選択及び時期の理解がこの病気を有する患者の最適管理に重要な因子す。

【肺動脈性肺高血圧症における「トラクリア®錠」】
 「トラクリア®錠」(一般名:ボセンタン)は、アクテリオン社により世界で初めて肺動脈性肺高血圧症治療に対し承認された経口エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)で、現在、米国、EU諸国、日本、オーストラリア、カナダ、スイスを含む世界の主要な地域で承認されています。

【エンドセリン受容体拮抗薬】
 エンドセリンは、血管壁と細胞に存在する2種類の受容体、ETA および ETBに結合します。ETAは主に血管内の平滑筋細胞に存在し、ETBは、繊維芽細胞、神経細胞、内皮細胞やホルモン生成細胞にも存在しています。エンドセリンシステムは肺高血圧症などの慢性の心血管疾患において重要な役割を果たしています。また、それらは強皮症や肺腺維症などの結合組織疾患に関係します。エンドセリンは、からだを正常に機能させる役割を担う一方で、病気の進展に関与することが知られています。

【プロスタサイクリン受容体作動薬】
 プロスタサイクリンは血小板と平滑筋細胞の表面に存在するIP受容体に結合します。IP受容体はGタンパク共役型受容体であり、プロスタサイクリンにより活性化されサイクリックAMPの生成を促進します。プロスタサイクリンはエンドセリンの血管収縮と血栓形成前段階に対して阻害的に働きます。非プラスタノイドIP受容体作動薬は肺動脈性肺高血圧症の治療に対する内因性プロスタサイクリンの作用に類似しています。

【ホスホジエステラーゼ5阻害】
 ホスホジエステラーゼ 5は平滑筋の弛緩に関わるサイクリックGMPを加水分解します。ホスホジエステラーゼ5阻害薬は、肺動脈平滑筋細胞内のサイクリックGMPレベルを高く維持することで肺動脈平滑筋弛緩を引き起こし、肺動脈性肺高血圧症における肺動脈の血行動態を改善します。
 
【アクテリオン社】
アクテリオン社は、スイス・バーゼル市郊外のアルシュビルに本社のあるバイオ・
ファーマシューティカル企業です。アクテリオン社の最初の製品である「トラクリア®」は経口投与が可能なエンドセリン受容体拮抗薬であり、肺高血圧症の治療薬として承認されています。アクテリオン社は、「トラクリア®」を米国、EU諸国、カナダ、スイス等の世界の主要国で、自社販売しております。
アクテリオン社は1997年12月に設立され、血流と血管を隔てている単一の器官である血管内皮に関する革新的な研究のリーダーです。アクテリオン社は、2000人以上従業員数を抱えており、未だ医療ニーズを満たしていない重要な疾患領域での研究、開発およびマーケティングに焦点をあてています。
アクテリオン社の株式は、スイスの證券市場に上場されています。(コード記号ATLN)

【本件に関する問い合わせ先】
  アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社
 広報室
 新井 和美
 TEL: 03-5774-4165
  http://www.actelion.co.jp/